こんにちは。
所長の川端康稔です。
今日は、
「思い込み」
について、ゆるくお話しします。

まずは次の文章について、あなたなら、どうお感じになりますか?
① 私はすべての人に愛されなければならない。Yes or No
② 事をなすには、完全無欠であらねばならない。Yes or No
③ 人を傷つける人は、人から責められるべきである。Yes or No
④ 思い通りにならないと、頭に来るのは当然である。Yes or No
⑤ 人間は、外界の圧力で落ち込んだり腹を立てたりするものである。Yes or No
⑥ 何か危険が起こりそうな時は、心配するのが当然である。Yes or No
⑦ 困難や責任は、立ち向かうより避けるほうが楽である。Yes or No
⑧ ものごとはうまく運ぶべきで、直ちに最良の解決策を見出さねばならない。Yes or No
⑨ 過去は重要であり、感情や行動に、今も影響を及ぼしているのは仕方ない。Yes or No
⑩ 人の拒否・非難にあったから、自分はダメな人間である。
⑪私は弱い人間だ。Yes or No
(※これは心理テストではありません。
また、どっちが正解ということはありませんのでご安心を。)
これらは「イラショナルビリーフ」と呼ばれているものです。
日本語に訳すと「非合理的な思い込み」です。
Yes にしろ No にしろ、「そうに違いない」と思っている場合、その人はその思い込み=信念にもとづいて生きていることになります。
■良いも悪いも全て「思い込み」
イラショナルビリーフは1955年にアメリカの臨床心理学者アルバート・エリス(Albert Ellis)が提唱した「論理療法」という心理療法で用いられます。
エリスによれば、心理的問題や生理的反応は、出来事や刺激そのものではなく、それをどのように受け取っているか、という認知の形状によって変わるとしています。
さらに、自身を苦しめている非合理な信念は、合理的(rational、あるいは論理的)な思考で粉砕できる、ともいわれています。
そして、粉砕後は当然、ココロとカラダに良い変化が起こります。
ちなみにエリスの提唱したこの療法は、後にアーロン・ベックによって提唱される、いま最新の心理療法「論理療法」のもとになっていきます。
■人はなぜ思い込んでしまうのか
さて、この「思い込み」について。
人はなぜ思い込んでしまうのでしょう。
ズバリ、
「自分の命を守るため」
です。
例えば、私は神主ですが、
怨霊を信じている人は、その祟りで体を壊すことがあります。
神を信じている人は、その恩恵で裕福になることが出来ます。
これらはどちらも科学的には妥当性ゼロです。
でも、意識が論理的に否定したとしても、自分の全てを司る無意識が、薄気味悪さや、有り難さを感じた場合、その通りになります。というより、脳がそうなろうとするのです。
他にも、
「私はネガティブな人間だ」
という思い込み。
こう思い込んでしまうには、それなりの事情や過去があります。
例えば幼い頃に、
はじめて絵を描いたとき、友達に「ヘタクソ」と言われたり、
さびしい思いで家に帰ってふさぎ込んでいるとき、親に理不尽に怒られたり、
思いがあふれて大声で泣き出したときに笑われたり、「うるさい!」と怒鳴られたり…。
こんな哀しい経験が続いたら、誰だってこの世に不信感を抱かざるを得ません。
しかし、それでも生きていくために、脳は選択をします。
A「まぁ、いっか。泣くとスッキリするなぁ。」
B「人は信用できない。この世は敵だらけだから気をつけなければ。」
そして脳は失敗を二度と繰り返さないために、選択を元に、出来事を日夜反復し、無意識(人格)を形成していきます。
10日たっても、10年たっても、その出来事や情景、感情を繰り返し続けます。
いまはもう、絵を笑う人も、悲しい思いに理不尽に怒鳴る人もいないのに、それでも脳は、繰り返します。
命と直結した暗示にはとてつもない力があるのです。
脳は暗示に臨場感を感じているとき、どちらが現実(リアリティ)か仮想現実(バーチャルリアリティ)かは区別しません(というよりできません)。暗示には過去の記憶を呼び起こし、体をも変化させる作用があります。
口に絞ったレモン汁を味わっているのを想像すると口の中に唾液が出てくるのが良い例です。
人生はこういった、過去の失敗により積み重ねた「思い込み」によってできあがっていると言っても過言ではありません。
また、その「思い込み」がその場しのぎでなく、人生を通して良い結果をもたらすように使うか否か、この選択が人生の分かれ道とも言えます。
■思い込まされている場合もある
ヤクザ映画を見ると急に強気になる人がいます。
これは、ストーリーに脳が臨場感を感じて、その世界観に自身を没入させるからです。
日常に戻れば徐々に元の性格に戻りますが、繰り返しみていると、暗示が反復され、そのような人間になっていきます。
テレビなどは、その効果を利用した洗脳装置の最たるものです。
論理的に考えればなんでもないようなことでも、見る人々の感情に働きかけ、ときになんでもないニュースで扇動して他の大事件をカモフラージュしたりもします。
ゲーム、特に格闘ゲームや戦争ゲームにはまっている人は注意です。
その世界観が脳内で現実化されると、よほど苦しむことになります。
ご自身が「思い込まされている」か否かは、対象に接したときに感情がどれだけ強く働いたかでわかります。
■健全な「思い込み」に変えるには
まずは、思い込みに気づくこと。
自分がどんな思い込みに従って生きているのかを、次の順序で確認してみてください。
①自分自身が、いま本当に幸せかどうかを考えます。
②なぜ幸せか、なぜ不幸かを考えます。
③その理由が妥当なものかを検証します。
※妥当であると感じたら、それが思い込みです。
次に、不幸の思い込みを変えていきます。
①その思い込みが体に及ぼしている影響の有無を検証します。
感情と体の不調は混同しがちです。
※ドキドキや、イライラは、運動不足や不健康な生活が原因であることが多いです。
②その思い込みが「思い込まされていないか」を検証します。
自分が直に体験したこと以外は信じないこと。噂話や、メディアや他人から見聞きしたことなどはすべて暗示です。
例えば、長年にわたりストレスは良くないモノとして扱われてきましたが、現在ではむしろ人生を助けるもの、と見直されてきています。
※暗示を解くには瞑想(マインドフルネス)か、来所の上、催眠療法をお受けください。
③不幸の思い込みの原因が、自身の体験・経験によるものである場合、その時点での自分を癒やします。
例えば、美しい光が体に染み込んで安らいでいく様子をイメージします。
幼い頃の記憶にあった場合、目を閉じて、幼い頃の自分自身を抱きしめ、笑顔になるまで慰めます。
④自身を苦しめてきた思い込みを紙に書き出し、燃やしてしまいます。
※火事に気をつけましょう。
⑤代わりにどんな思い込みが今の人生を満足できるものに変えてくれるかを紙に書き出します。
自他共に、分け隔てなく幸福である様子を、誠実に考えながら。
ちょっと荒削りな説明でしたが、これを何回も繰り返すと、不思議なほど早く思い込みは変化します。詳しくはお問い合わせください。
■思い込みは世界を変える
現在、隣国の韓国と我が国は険悪なムードにあります。
国や言葉が違うだけで、同じ人間なのに、韓国人または日本人であるということだけで、受け入れられなかったり、暴言を吐いたりします。
どんな国にも、いい人もいれば悪い人もいるのに。
韓国人だから嫌い、ともし思ってしまうならば、それはあなたの思い込みです。
そしてその思い込みは、敵を作り、自分の世界を狭めるものです。
もし日本に来た韓国人が道に迷い困っていても、助けることができなくなってしまいます。
人は思い込みで相手をなじるよりも、謝罪で許しを請うよりも、ただ親切にして愛し合うことの方が幸せではないかと私は思います。
私は学者ではありませんので歴史の真実など知るよしもありません。
歴史というのは100人いれば100人の歴史があるもの。学者であっても確かな歴史を解き明かすのは不可能ではないかと思います。
冷たい言い方かも知れませんが、先人達の間で起こったことは、先人達が解決するしかありません。当事者ではない今を生きるわれわれには、もはや過ぎ去った過去を体感することはできないので、真実がどうであったか、どのような苦しみがそこにあったかは、不確かな情報を元に想像することしかできません。不確かな情報である以上、蔓延するのは思い込みの怒りであり、思い込みの苦しみであり、形式通りの偽善的謝罪です。
いま確かに存在している目の前の人を愛すること、いま目の前で困っている人を助けること、これができない人たち同士が争っているのではないのかなぁ、と思うのです。
歴史問題は、解決させるようなものではなく、いろんな見方があることをドライに学だけでは不十分でしょうか。
おこがましくも国民代表といわんばかりに怒りを露わにしたり、謝ったら許してやるなんて言ったり、なんだか残念な気持ちになりませんか。
それよりも、国民同士が、相手国の国民に祈りを捧げるほうが良いのでは。
例えば、全員で同時刻に瞑目し、声を合わせて「韓国人が幸せでありますように」「日本人が幸せでありますように」って祈りあったり。
韓国国民全員が「日本人が幸せでありますように」って祈っている光景をイメージしてみましょう。何かが変わりませんか?
形だけであっても、そんな祈りがもし実現したら、その形は真実となり、真心となり、世界を変えてくれるような気がします。