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催眠暗示によって起こること
真の生きる力を引き出して、物事に対する意味づけや、感情に変化を及ぼします。
初めての方はヒプノセラピーがどのようなものかとても気になると思います。
まずはヒプノセラピーの概略を理解していきましょう。理解するにつれイメージが湧き、より効果と安心感が深まっていきます。
ヒプノセラピーとは催眠状態で心の「無意識」という部分に働きかけ、心の形をご自身の生きやすい形に整える技術です。意識ではなく無意識に直接アプローチするからこそ、感覚や感情に変化を及ぼすことができるのです。
その技術的な部分やメカニズムは基本的には催眠術と同じです。
・椅子から立てなくなる、体が軽くなる。
・飲物の香りや味、色が変わる。
・時が止まる。
・会いたい人が目の前に現れる。
・嫌いなはずの人が好きになる。
これらのことはショー催眠やテレビなどで観ることがあります。
しかし、実際の催眠療法の目的はこのような興味本位のパフォーマンスではなく、心に良い変化を促すものです。
目的と目標
あなたのココロのコップには「生きる力」がどれくらい残っていますか
ご自身の心をコップの水に例えます。
いま心にはどれくらいの愛が注がれていますか?
人は愛が枯渇すると他人を愛せないばかりか、自分さえも愛せなくなります。
当研究所でのカウンセリング目的は、自他共に愛で満たされ前を向いて生きることです。
そのために掲げる目標は、次の3つです。
①自身のコップの形を知ること
②コップの形を整えること
③コップの満たし方を知ること
④実際にコップを愛で満たすこと
カウンセラー・セラピストは、この3つの目標を達成するお手伝いをします。
ココロとは
そもそもココロはどんな形をしているのでしょう
19世紀、オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトは、世界で始めて人のココロには意識の他に「無意識」の領域があることを発見しました。自分のなかにもう一人の自分、しかも意識よりも格段に大きい力を持つ自分がいることを発見したのです。この発見は自身の合理性を疑わない19世紀の知識人たちをひっくり返らせ、大変驚かせました。
ここではあえてわかりやすく、この「意識」と「無意識」を合わせたものが「ココロ」と定義してみたいと思います。
では「意識」「無意識」とは何でしょう。
「無意識」を説明するために、まず「意識」とは何かを簡単に感じてみましょう。
下に1〜10までの数字が順番に並んでいます。このなかで6がどこにあるかを探してください。
1,2,4,3,5,6,7,9,8,10
すぐに6を探し出せたと思います。自分で6を探すということを決め、意識的に行動にうつした結果です。
しかし、6を探せたことに加えて、数の順番がおかしいことにも気づけたでしょうか。
気づけた方は「何かあるかもしれない」というのも無意識の働きのおかげです。また、気づかなければ「順番に並んでいないわけがない」という無意識の思い込みということになります。
また、あなたは今、この文章を読んでいますが、私に指摘されるまで「読んでいる」という行為には気づいていたでしょうか。この文章を読もうとしているのが無意識です。そしてこの文章から何かを感じとろうとしたり連想しているのも無意識です。
ココロの全体を100とすると「意識」の占める割合は5〜7%、「無意識」の領域は90%以上を占めるといわれています。
ですので、例えば無意識が「悲しい」と感じていたら、意識がいくら「悲しんでいてはいけない」と思っても、悲しんでしまいます。他人からの励ましがあっても、笑うことはできません。
ココロなど存在しない、という人もいます。
『唯脳論』や『バカの壁』等の著書で知られるで有名な解剖学者の養老孟司さんは、
「心臓や血管をいくら解剖しても、循環というモノが出てこないように、脳や感覚器官をいくら解剖しても、心というモノは出てこない。なぜなら、循環が心臓や血管の機能であるように、心も脳という器官の作り出す機能であるからである。」
つまり、心というあやふやなものは存在せず、思い込みによって作り出されたフィクションであり、心の働きとはすなわち脳の機能のことである、ということです。
しかし我々は実感として、その「ココロ」を感じています。
そういう意味では「ココロ=記憶とプログラム」ということも出来るかもしれません。
ヒプノセラピーで得られる効果
・ネガティブな感情をポジティブに変換できるという経験を得る
・生きる力を増幅し、生きることを楽しくする。
・細胞を若返らせ、内臓や肌の調子が良くなる。
・特定の記憶に結びついている負の感情を引きはがし楽になる。
これらは催眠心理療法から得られる効果の一例です。
そして目指すところは「無意識の思い込みに変化を与える」=「ココロの上書き」です。
しかし魔法ではないので、残念ながら一度のセッションで全てが良くなる方はとてもまれです。
空手を習おうとする方が道場に電話をし「明日稽古に参加したら黒帯になれますか?」と聞いても無理な話です。
通常、胎内の細胞は3ヶ月でほぼ全てが入れ替わります。これと同じように、頭で理解していることが心や体に定着するには少なくともそれだけ日数のかかる作業なのです。
美しい身体を手に入れようとする人が、定期的にエステやトレーニングに通い、それらに月数万円掛ける方はいても、人生のもととなる「心のあり方」に投資する方が意外に少ないことに不思議を感じています。心が整えばストレスが軽減し、ホルモンバランスが整い、内側から美しく変化していきます。
催眠心理療法は、ココロのエステ、サプリメント、ときに医師が処方するお薬にも相当します。
実際、薬物療法に変わる代替医療として我が国以外の先進国では催眠心理療法は広く用いられています。
ココロを上書きさせる方法
どのようにすればココロはより良い形に変化していくか
脳には「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」という機能が備わっています。どんなに暑くても寒くても平熱を保っていられたり、光の加減によって瞳孔を調整できるのは、この機能のおかげです。命を守るために常により良い状態を作り上げようとしています。
その意味では、ココロはよくゴムボールにたとえられます。
ゴムボールは押されててストレスがかかっても、そのストレスが離れると元の丸い形、本来の最適な形に戻ろうとします。
しかし困ったことに、長時間にわたって押され続けたゴムボールは、ストレスが離れても、ヘコんだままの押された形を今度は維持し続けようとするのです。
ココロといわれるものは無意識の領域ですので「これが本来の私の姿」と無意識が思い込んでいる自分像に誤りがある場合、意識では誤りであることが分かっていても、無意識はその形を維持しようとします。
ヒプノセラピーはその無意識に直接働きかけます。施術によりヘコんだ部分を引き上げると、徐々に全体的な変化が現れ本来の姿に戻ろうとします。
しかし、恒常性維持機能の逆の働きにより、一時的に改善しても長時間感じてきた誤った形、誤った自分像を本来の自分と捉え、そちらに戻ろうとしてしまうこともあります。だからこそ、何事も繰り返し、継続的な強化が必要となります。
その意味では勉強やスポーツ、特殊な技術等も修練の反復によってのみ、そのスキルを得ることができるのと同じです。人間は環境適用能力が高い動物です。
最初から知識や技術を習得できると思っている人はいません。大事なことは、自分にはその技術を手に入れることができるのだ、という無意識の思い込みがあることです。新たな自分を作り出すことができるのだ、という無意識の気づきこそがココロを美しく丸い形に整えるのを助けます。
これを脳内では記憶にむずびついている感情の上書きが起こることを意味します。パソコンのアップデータと同じように、我々のココロは常に上書きが可能なのです。
セラピーの流れ
インテーク(初回面談)
①ご説明→②心理カウンセリング→③コンディションチェック→④被暗示性テスト→⑤ヒプノセラピー
①説明
以下のことをご説明します。
・お帰りになるまでの流れ
・ヒプノセラピーの効果
・ヒプノセラピーによって可能なこと
・そもそもどのようなセラピーか
等々をご説明します。
②心理カウンセリング
一通りのご説明の後、心理カウンセリングを行います。ココロ研究所では、この心理カウンセリングを十二分に行うことを心がけています。他のセラピールームの中には、来所してすぐに催眠誘導に入るセラピストもいるようですが、「私の何が分かるの?」という思いを抱かれたままセラピーに入っても高い効果は望めません。
ぜひ、誰にも言えない思いや、正直に感じている気持ちをお話ください。
③コンディションチェック
催眠は誰でもかかるものですが、100%ではありません。その日その時の健康状態、コンディションに大きく左右されます。
被暗示性がとても高い、いわゆる「催眠にかかりやすい人」であってもコンディションによってはご自身で催眠には入れないようなときもあります。セラピストがコンディションがすぐれないと判断した場合は、それ以上進めることはできません。効果が無いとわかっているにもかかわらずセラピーを勧めることは誠実とは言えないからです。
③被暗示性テスト
コンディションチェックも終わり、心理カウンセリングによって現状把握と本心がどう感じているかに気づきを得た後、催眠導入する前に簡単なテストを行っていきます。ご自身がどのようなタイプの暗示に反応しやすいかを5つほどのテストを用いて判断していきます。テストの中にはわずかにしか反応しないものもあれば、大きく反応するテストもあります。一番大きな反応を見せたテストをもとにその人の得意な催眠を見つけ出し、それをもとに催眠療法に入っていきます。
④ヒプノセラピー
被暗示性テストの結果を基に催眠誘導していきます。ゆっくり入る方もいれば早く入る方もいて、入り方は千差万別です。どれくらい深い状態には入れるかは最初は考えなくても良いのです。セラピストがそこを見極めますので、クライアントは自分のペースで無意識へと入ることができます。
ご自身の可能性についてどれくらい知っていますか?
催眠状態に入ることは、真の自分の能力を知ることを意味します。
誰しもがその能力を眠らせたまま、そんな能力は無い、と思い込んでいます。
世の中に蔓延する迷信やうわさを信じることはあっても、自身の能力を信じられない人が不思議と多いのです。
その思い込みを上書きすることもヒプノセラピーの目的の一つです。
どうせ信じるなら、不確かな身の回りのことよりも、一番確かな自分自身を信じるべきです。
そこに気づけたとき、人は一瞬で変わります。人生が変化します。
そして最初から強い自分であったことを知ります。
これこそが最終目的であり、その時にはセラピーに通ってなんとかしたいと思っていた頃のことは過去となり、思い出すこともないでしょう。
催眠術って安全なの?
よくテレビ等で見られる催眠ショーで、芸能人達が術者に好きなように操られている様子がみられます。
しかし実は、どんな暗示にでも反応するわけではありません。いくら興味と信頼の関係が構築されていても、「ビルから飛び降りなさい」という暗示で絶対に飛び降りることはありませんし、理由もなく「服を脱ぎなさい」と言われても、その瞬間に催眠は解けてしまいます。これは催眠状態では無意識の防衛本能が通常よりも強く働いているためです。つまり催眠状態になればなるほど自己防衛本能が高まっていくため、被験者の命や意に沿わない暗示を入れられたら、その瞬間に催眠は解けてしまうのです。
催眠中はあなたのコントローラーをお借りいたします。
生物は「ラジコン本体」とそれを「操る人」がセットでひとり。
催眠をラジコンのロボットに例えてみましょう。
ロボットがいくらかっこよく優れた性能であっても、それだけでは動きません。
コントローラーが必要です。
そして、コントローラーを操る人が必要です。
さらに、電池が必要です。
私たちの脳内にはAI(人工知能)が備わっています。
■意識が作りだした「もう一人の自分」(AI)
車の運転をイメージしてください。私たちは乗り始めの当初、エンジンキーを回すことやアクセル・ブレーキはもちろん、ハンドル操作、ギアチェンジに至るまで全ての操作に細かく意識を向けていました。それがいつしか慣れてくると、無意識に操作できるようになっていきます。
これは正しい操作の反復が小脳に記憶され自動運動化することによって無意識化された結果です。
記憶のパターンとして、無意識の自動運動にシフトすると、事故等、突発的な出来事にも意識以上に素早く対応できるようになります。意識で考えるよりも早く、反復した通りの正しいフォームで動き始めることができるのです。これはスポーツや武道だけでなく、人生の全ての場面において、正しい反復運動こそが正しい人生を作り出すことを示しています。
この自動運動(自動思考)こそがAI(人工知能)であり、私はこれを「もう一人の自分」または「内なる神」などと呼んでいます。
これが無意識や潜在意識と呼ばれるモノです。
「もう一人の自分」は命を護るために存在します。
無意識があればこそ、我々はいちいち意識しなくとも真っ直ぐ座っていることができます。無意識がなければ継続的に脊柱起立筋に意識を向けていなければ倒れてしまいます。
ラジコンロボットの例でいうならば、
肉体=ラジコン本体
意識・無意識=コントローラー
脳幹=コントローラーを操る人
大脳新皮質(理性)=プログラム作成装置
こんな風になるでしょうか。
■無意識のエラー
正しい情報を元に、正しい方法で反復された記憶は、正しい自動運動となり、人生をとても快適なものにしてくれます。
しかし、この機能には重大な欠点もあります。取り入れる情報の正誤を見分ける方法や、取捨選択にエラーが生じることがあるのです。
当然、誤った情報や方法を取り入れ、反復し続けると、永遠に誤作動し続けてしまいます。
例えば、冗談でも「お前はバカだ」といわれて育った子供は100%バカな人間になるといわれています。「お前なんか生まれなければ良かった」と幼い頃からいわれて育った子は、人生のどこかで精神的な修復がない限り、一生「自分は誰からも愛されない不要な人間」として深い孤独感を持ったままこの世をさまようことになります。
■催眠心理療法とは
催眠心理療法とは、ラジコンロボットでいうところのコントローラーをセラピストが一時的にお借りして、ラジコン本体に正しく操ることでプログラムの書き換えを行い、エラーの生じている歪んだ自動運動プログラムを生きやすい形に上書きさせる技術です。
催眠状態になったらどうなるの?
「心地よくふわふわと浮いている感じ…」
「癒しの泉の中をゆらゆらと漂っている感じ…」
「温かいお湯の中でプカプカ浮いている感じ」
さまざまな感想をお聞きしますが、ほとんど多くの方が「心地いい」「気持ちいい」と表現されます。
これは、思考がストップすることで脳がとても安らかな状態(脳波の状態がα波から、さらに深いシータ波、さらに能力の高い人であればデルタ波まで)になるからです。
催眠状態は睡眠状態ととてもよく似ています。
人は1日に必ず2回は深い睡眠状態を経験しているといいます。それは深い眠りに入る時と、深い眠りから覚める時です。
催眠と睡眠の大きな違いは「集中力」の有無です。催眠状態になると、虫眼鏡で光を集めるように一点集中の状態になります。外部のとらわれから解放された癒しの状態にありながらも、禅や瞑想と同じようにとても集中力の高い状態になるのです。だからとても気持ちよく感じられるのです。
また、なぜ思考がストップすると楽になるかというと、思考がストレスの原因になっているからです。
綺麗な景色を見に行っても、頭の中は、仕事のことや人間関係等の過去のことや未来のことなどを考え、本当の景色や、本当の今を感じることがなかなかできません。ヒトは過去・現在・未来を同時に生きることが出来ます。これはヒトにしかできないとても脳力のいることでことで、極度に度が過ぎると著しく疲弊し、強いストレスに苛まれます。それが催眠状態になると本当の今のみを感じることができるようになり、高次元の自我状態で物事を捉えられるようになります。まさに「明鏡止水(めいきょうしすい)」の静かで澄み切った状態ですね。
ぜひ一度、この静寂で澄み切った世界を体験してみてください。
日本の医療現場においては、ヒプノセラピーの技術はほとんど使われることはありません。
それは、非常に効果的な技術であるにもかかわらず、使いこなせる人が少ないからです。
均一な医療を提供するのが重要視される臨床の場では、この人には効果がある、この人には効果が無い、という曖昧な結果に保険を掛けられません。理論をいくら修得しても、重要なのは知識ではなくセンスと技術力であり、在野で活躍する催眠術師が医師を相手に講習をすることがあるのはそのためです。
米国と違い、日本では催眠文化はまだまだ発展途上の段階で、身近に催眠療法を施せる人が少ないのが現状です。
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